2014年2月14日金曜日

いすみ鉄道鳥塚亮社長が語る「ローカル線再生の型破り手法とは?」

住宅産業塾 工務店応援通信からいすみ鉄道の鳥塚社長の講演内容を記載させ
ていただきます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆住宅産業塾「新春セミナー2014」特別講演
----------------------------------------------------------------------
 いすみ鉄道鳥塚亮社長が語る「ローカル線再生の型破り手法とは?」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


○航空会社を辞めローカル鉄道の社長に

住宅産業塾「新春セミナー2014」の特別講演として千葉県房総の里山を走るい
すみ鉄道株式会社の代表取締役社長・鳥塚亮氏が講演。タイトルは「ローカル
線再生の型破り手法とは?」。
ユニークな発想で経営再建に立ち向かった鳥塚社長のお話をまとめてみました。

いすみ鉄道は、千葉県房総半島のいすみ市・大多喜町を走るローカル路線。
365日毎日列車を走らせても運賃収入が1億円未満。経費が人件費も含めて2億
円ということで毎年1億円ずづ赤字。それをなんとかくい止めなければいけな
いということで、5年前の2009年に経営再建で社長応募123人の中から選ばれて
鳥塚氏が社長に就任。航空会社に勤めていましたが「軽い気持ちで応募」した
といいます。


○列車が走る風景を守ろう

ローカル線問題は昭和40年代から問題になっていますが、いまだ解決されませ
ん。「45年やっていて解決しないのなら、やり方がわるいんじゃないか。今ま
でのやりからの延長戦上に未来はない。だったら別のやり方をしましょう。そ
れが私が社長に就任したときのポリシー」と鳥塚社長は語ります。

ローカル線というと「乗って残そう運動」がありますが、鳥塚社長は、こうし
たやり方に反対です。その理由を「なぜならローカル線は営業距離が20キロか
ら40キロのところを走っていますが、本来の交通機関として生き残るためには
人口が10万人は必要。ところが殆どのローカル線沿線にはそれだけの人口がい
ません。だからいすみ鉄道を含め、ローカル線では乗って残そう運動は成り立
たないのです」と語ります。

そこで鳥塚社長は地元の人に「もう乗らなくていいよ」と語りかけます。しか
し、それでは存続できないという住民に"では何を残したいのだ"と問いかけま
す。すると「これまでのように列車の走る風景を守りたい」ということがわか
ってきます。それならその風景を守ろうと動き出すのです。鳥塚社長は「地元
の人たちは駅に花を植えるなど大事にし、そして頑張ってきた。そんな頑張っ
てきた人たちがた浮かばれない世の中では日本の将来は無い。やっていてよか
ったな~と思う世の中にしないといけない」とその思いを語ります。


○女性をターゲットに「ムーミン列車」

「いままでやってこなかったことをやる」というのが鳥塚社長のポリシー。

まず観光列車を走らせることにしました。観光列車というとSLとかトロッコ
思い浮かべますが、「お金がないから列車にムーミンのシールを貼って、ムー
ミン列車としました」。

これが「かわいい!」と受けたのです。すると女性雑誌に「かわいい列車の旅」
と特集を組まれ、観光客もやってきて町はにぎわうようになりました。

ジャニーズジュニアともタイアップ。録音されたアイドルの車内アナウンスが
流れるだけですが、若い女性がいすみ鉄道に来てくれるようになりました。こ
のような常識破りの手法を次々と打ち出し、鉄道の存続が決定したのです。


○「男性諸君!お待たせしました」

鳥塚社長の次の作戦は「世の男性諸君!お待たせしました」と、今度は鉄道フ
ァンをターゲットにします。昭和40年代ディーゼルカーのキハ52形の列車を
200万円で購入しました。

イベントで国鉄時代を再現するなど、鉄道ファンの心をくすぐります。昭和ブ
ームに乗った作戦でもありますが、写真を撮りにたくさんの人がやってきます。

ブログで話題となり、「オート三輪をディーゼルの隣に置いて写真を撮りたい」
とオールドカーが駅に来ます。すると「今度はボンネッバスもやってきた」と
また話題になり、好循環が始まりました。

また、訓練費700万円を自己負担で素人が運転手の免許を取れるような企画を立
て、お金をかけず話題をつくり続けています。

いまは究極のグルメ列車「イタリアン・ランチクルーズ列車」などを走らせて
話題になっています。
『「何もない」があります』と何もないことを逆手に取ったPRも…。

鳥塚氏の話は「既存の発想を打ち破る」「中央からではなく徹底して地域から
の視点で考える」「顧客が求めるものは何か考える」といったように、「顧客
の創造」に何をすべきなのか、ヒントを与えてくれました。

                      (文責:住宅産業塾・松浦誠)


住宅産業塾
住宅産業塾Facebookページ

0 件のコメント:

コメントを投稿